ミュージカルは終わらない Musicals won't be over.

舞台ミュージカルを中心とした、ミュージカル映画、演劇、オペラに関するブログ

『ヘアスプレー(2007)』Hairspray

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『ヘアスプレー』とは

2007年のミュージカル映画
2002年初演、2003年のトニー賞最多受賞のブロードウェイ・ミュージカルを映画化したもの。
この舞台の原作は、同名の1988年のカルト映画。
暗めのカルト映画を、楽しい音楽とダンスを散りばめて極めて明るいタッチに仕上げているところが、素晴らしい点のひとつ。
主演は、今作で映画デビューを飾ったシンデレラ・ガール、ニッキー・ブロンスキーちゃん。
相手役のザック・エフロンは、『ハイ・スクール・ミュージカル』と今作のヒットで、アイドル路線まっしぐら、といったところ。
20代には二枚目俳優として有名だった、ジョン・トラヴォルタが女装して、ヒロインの母親役を演じているのも、見もの。
舞台版の「Mama,I'm a Big Girl Now」は、「トレーシーとアンバーが同じ悩みを抱えているのはおかしい」という監督の意向で、カットされている。
スタッフは映画『シカゴ』の制作を手がけたチームで、クイーン・ラティファは『シカゴ』にも出演しています。


あらすじ

62年、人種差別が根強く、白人と黒人がともにテレビに出演することも許されていなかった頃のボルチモアが舞台。
トレーシーは、ダンスとおしゃれを愛する、ふくよかな体型の女子高生。
ローカルのダンス番組「コーニー・コリンズ・ショー」に出演するリンクは憧れの存在であり、番組に一緒に出演することが彼女の夢だった。
ある時、その番組の出演オーディションに、トレーシーは学校をさぼって受験する。
一度は不合格になるも、ダンスの実力が認められ、番組のレギュラー・メンバーとなり、番組主催のミスコンテストであるミス・ヘアスプレーの候補に挙がる。
しかし、番組を取り仕切るヴェルマは、娘のアンバーにミス・ヘアスプレーを取らせたいため、トレーシーをよく思わない。
そんな折、月一度の黒人が出演できる番組が取りやめになることが決まり、トレーシーは抗議デモを発案する。
しかし、白人が黒人の抗議デモに参加することを世間は許さなかった。。。

キャスト・スタッフ

監督…アダム・シャンクマン

トレーシー・ターンブラッド…ニッキー・ブロンスキー
エドナ・ターンブラッド…ジョン・トラヴォルタ
ウィルバー・ターンブラッド…クリストファー・ウォーケン
ヴェルマ・フォン・タッスル…ミシェル・ファイファー
モーターマウス・メイベル…クイーン・ラティファ
リンク・ラーキン…ザック・エフロン
ペニー・ピングルトン…アマンダ・バインズ
スィーウィード…イライジャ・ケリー
コーニー・コリンズ…ジェームズ・マースデン
アンバー・フォン・タッスル…ブリタニー・スノウ

感想

この作品は、公開初日の朝一に、まだガラガラの映画館で観ました。
内容をよく知らずに観はじめたので、今でもあの時観たオープニングの「Good Morning,Baltimore」を聴いた時の感動は、強烈に覚えています(笑)。
その後、ブロードウェイでも観劇しました。

まず、音楽がノリノリで、印象的な楽曲が多いです。
好きな曲はたくさんあるんですけれど、やっぱりオープニングの「Good Morning,Baltimore」。
それに、「I Can Hear the Bell」、四重唱の「Without Love」…挙げればキリがないですね。
ミュージカル的に秀逸なのは、「Timeless to Me」。
言葉遊びが楽しいし、よく上手くまとめられているなぁと思います。

舞台版との比較をすると、アマンダ・バインズ演じるペニー。
舞台版のペニーは、普段メガネっ子の真面目ちゃんキャラなんです。
なので、フィナーレでメガネを取り、セクシーな衣装に着替えると、客席から歓声が上がるんですが、
アマンダちゃんは、最初から可愛らしいので(?)、最後着替えても、それほどの感動は無かったですね。


このミュージカルは、シンデレラ物語であるのと同時に、マイノリティへの差別を描いた作品。
ブロードウェイでの公演は、今年2009年1月4日に終わりましたが、
6年以上もロングランできた一因は、観客が、今日存在する種々の差別を、この作品のなかに見るからなのかもしれませんよね。

この映画を観て、「現実そんな上手くいかないよ」という意見を持たれるのは、ごもっとも!
だからこそ、この作品の意味があると思うんです!!
何も深く考えずに、楽しい音楽に身をゆだねれば、もうそれだけで十分楽しめる作品だと思います。


Hairspray - Good Morning Baltimore (Official Music Video)

『嫌われ松子の一生(2006)』Memories of Matsuko

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嫌われ松子の一生』とは

2006年公開の、ミュージカル仕立ての日本映画。
原作は、山田宗樹の同名小説。
中谷美紀主演で、数多くのアーティストも出演し、歌声を披露しています。

あらすじ
53歳の女性の変死体が河川敷で発見された。
彼女の名前は川尻松子。
元中学校教師の彼女は、思いもよらない転落人生を歩んできたのだった。
愛を求める松子の前には様々な男たちが現れるが、
彼女の選択はことごとく不幸へとつながってしまう。
そんな松子の人生を、彼女と関わった人物との出会いの中で、甥の笙が紐解いていく。

キャスト・スタッフ

監督…中島哲也

川尻松子…中谷美紀
川尻笙…瑛太
龍洋一…伊勢谷友介
川尻紀夫…香川照之
川尻久美…市川実日子
川尻恒造…柄本明
沢村めぐみ…黒沢あすか
渡辺明日香柴咲コウ
佐伯俊二…谷川章介
八女川徹也…宮藤官九郎
綾乃…BONNIE PINK
などなどなど。。

感想

本ブログ、初の日本映画です(^^)

この映画は、日本映画では大変珍しい、ミュージカルシーンが登場する映画ということで、記事にしました。

初めて観た時は、衝撃的でしたね\(@o@)/

この映画において、ミュージカル・シーンは、複雑な内容の場面を簡潔にわかりやすく伝える働きをしていました。

ディズニー的で、レトロな雰囲気のカラフルな世界で中谷さんが歌い踊る「♪Happy Wedensday」、

水商売での盛衰をBONNY PINKが歌う「♪Love is Bubble」とか、

刑務所から、昔の男が待っていることを信じて美容師の資格を取る場面では、AIが女囚として「♪What is a Life」を歌っていたり。。。

驚くのは、使われている音楽のジャンルが多岐にわたっていること!

R&B系が来たかと思えば、懐かしの昭和の歌(天地真理さんの「水色の恋」とか)が出てきたり、と。

思わずサントラを買いたくなってしまいました♪♪

 

松子の人生はまさに波乱万丈なのですが、

人生のアップダウンが音楽によって、より強調されていたように感じました。

また、もしもこの作品がミュージカル的に描かれなかったら、

それはそれは重苦しい作品になっていたでしょう。

日本の映画には、あまり興味がなかったのですが、、、

この映画で、久々に泣いてしまいました。

俳優さんについてですが、やはり、主演の中谷さんの演技。

「この作品のために女優を続けてきた」と言うとおり、熱のこもった素晴らしいものでした。

最後に、ディズニー感満載の「Happy Wednesday」(曲のみ)をお送りします。


Happy Wednesday - Memories of Matsuko